仏事の豆知識 · 2025/08/14
仏さまに限らず、食べ物やお花を「お供え」するということは馴染み深いことでしょう。その「お供え」とは私から他に差し向けることだと言えます。 しかし、浄土真宗では、仏さまに御仏飯をさしあげるとき「備(そな)える」と表現することがあります。「備え」には、予備、備品、災害に備えるといった意味から連想される通り、前もってそなえる、自分自身の心持ちと行動がそこにあると言えるでしょう。 故人様、そして仏さまへ私が「お供え」する際、自分自身は静かに手を合わせる準備がととのっているでしょうか。どうしても、お供え物自体に目がいきがちですが、実は自分自身の備えこそが大事なのではないしょうか。そして、その自分自身の備えがあってこそ、はじめて故人様と仏さまへの「お供え」となるのではないでしょうか。合掌【了】
仏事解説 · 2025/08/13
初盆(新盆とも呼びます)とは、故人が亡くなられてから初めて迎えるお盆のことです。お盆はご先祖や亡き人をご縁とした大切な仏縁です。 奈良では、古くからお盆(8月)にお墓参りをする風習が深く根づいており、古都ならではの静けさと温もりの中で大事に勤まります。奈良では「そうめん」や地元の野菜をお備えするご家庭も多いです。 また、お寺の本堂では「盂蘭盆会」という法要が勤まり、多くの方がお焼香に訪れます。 真宗大谷派では、初盆を特別な儀礼として供養するというよりも、お盆そのものを仏法聴聞のご縁として受け止めます。 亡き方は阿弥陀如来の大悲に抱かれて浄土に往生され、そのお心は今、私たちを仏法に導くはたらきとなってくださっています。お盆は、その導きに気づかされる場です。 ですから、真宗大谷派の初盆のお参りでは、「○○さんのために」ではなく、「○○さんに遇(あ)わされて、私が仏法を聞く」ことが根本にあります。 初盆は家族や親族が集まる貴重な機会です。お内仏やお墓の前で、亡き方の歩みやご縁を語り合うことも、大きな意味を持ちます。合掌【了】